[育児・介護休業法」では、労働基準法に定める産前休業(原則6週間)および産後休業(原則8週間)が開始されると、育児休業期間は終了することになっています。
育児休業期間中に次の子の出産予定がある場合の取り扱いについて、育児休業にかかる子を「A子」、次の出産予定の子を「B子」として、次のケースにあてはめて考えてみます。
1、B子の出産日以前の取り扱い
産前休業は本人から請求があった場合に認められていますので、A子にかかる育児休業期間中でも、
B子にかかる産前休業の請求がなされた場合は、産前休業が開始されます。
したがって、A子にかかる育児休業期間は終了し、当然健康保険料、厚生年金保険料の免除も終了となります。さらに、雇用保険の育児休業給付金を受給している場合も受給は終了します。
一方、B子にかかる産前休業の請求がない場合は、出産予定日以前6週間以内であっても、産前休業は開始されません。
したがって、A子にかかる育児休業期間は継続していますので、それにともなう健康保険料、厚生年金保険料の免除も継続されます。雇用保険育児休業給付金も引き続き受給できます。
2、B子の出産後の取り扱い
産後休業は本人からの請求の有無に関わらず、事業主は必ず与えなければなりません。
産後休業は出産日の翌日から開始されますので、
B子にかかる産前休業の請求をせず、それによりA子にかかる育児休業中でそれに伴う保険料免除や育児休業給付金を受給中でも、出産日をもってA子の育児休業期間は終了します。
そして、保険料免除も終了、育児休業給付金の受給も終了となります。
なお、育児休業期間中に産前・産後休業を開始した場合は、事業主は当初の育児休業終了予定日の前日までに、育児休業を終了したことを保険者に届出る必要があります
上記のように、産前休業を請求すると必然的に育児休業は終了となり、健康保険料、厚生年金保険料の免除や雇用保険の育児休業給付金の受給のことを考慮すると、B子にかかる産前休業の請求は行わず、出産日までA子の育児休業期間とするのが有利といえます。