Q. 従業員の住所が変わったときは、どのような手続きが必要でしょうか?

A. 事業所を管轄している社会保険事務所等に「被保険者住所変更届」をすみやかに提出してください。なお、70歳以上の被保険者は、厚生年金保険の被保険者ではありませんので、住所が変わっても住所変更届を提出する必要はありません。

記載例


























Q. 従業員の氏名が変わったときは、どのような手続が必要でしょうか?

A. 事業所を管轄している社会保険事務所に「被保険者氏名変更(訂正)届」をすみやかに提出してください。その際、被保険者及び被扶養者の健康保険被保険証と年金手帳または基礎年金番号通知書を添付する必要があります。
なお、被扶養者の氏名が変わった場合は、「被扶養者(異動)届」に被扶養者の被保険者証を添付して社会保険事務所に提出してください。

記載例


























Q. 被保険者証を紛失したときは、どのような手続きが必要でしょうか?

A.  被保険者証を紛失したり、毀損したときは、事業所を管轄している社会保険事務所等に「被保険者証再交付申請書」をできるだけはやく提出してください。申請書を提出することで被保険者証の再交付が受けられます。被保険者証の再交付を受けた後に紛失した被保険者証を発見した場合は、直ちに発見した被保険者証を社会保険事務所に返納する必要があります。

記載例


























Q. 扶養家族を被扶養者とするときや被扶養者に異動があったときは、どのような手続きが必要でしょうか?

A.  扶養家族を被扶養者にするときや、すでに被扶養者となっている扶養家族に異動があったときには、事業主を経由して事業所を管轄している社会保険事務所等に「被扶養者(異動)届」を資格取得の日、または異動があったときから5日以内に届出してください。被扶養者が被保険者の配偶者の場合には配偶者の年金手帳または基礎年金番号通知書が必要となります。

 なお、認定対象者に収入がある場合は、次の基準をもとに被扶養者とするか判断されます。

  1. 年収が130万円未満であること
     認定対象者の年収が130万円未満で、かつ被保険者の年収の半分未満であれば、原則として被扶養者になれます。また、認定対象者の年収が被保険者の半分以上であっても、130円未満である場合は、被保険者の収入によって生計を維持していると認められれば、被扶養者になることもあります。
  2. 別居の場合は仕送り額で判断
     被保険者と別居している場合には、年収が130万円未満で、かつ被保険者からの仕送り額が少ないときに被扶養者になれます。
  3. 60歳以上は180万円未満
     認定対象者が60歳以上、または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合には、年収の認定基準の「130万円未満」が180万円未満となります。
被扶養者となれるのは、被保険者の収入により生計を維持している人で以下の範囲となっています。

  1. 被保険者と別居でもよい人
    • 配偶者(内縁を含む)
    • 子、孫および弟妹
    • 父母、祖父母など直系尊属
  2. 被保険者と同居していることが条件の人
    • 兄姉、伯叔父母、甥姪などとその配偶者、孫、弟妹の配偶者、配偶者の父母など1以外の3親等内の親族
    • 内縁関係の配偶者の父母および子(その配偶者の死後、引き続き同居する場合を含む)

記載例


























Q. 国民年金の第3号被保険者(厚生年金保険や共済年金等に加入する第2号被保険者の被扶養配偶者)の届出が遅れたのですが、特例の届出は認められますか?

A.  これまでは、国民年金の第3号被保険者の届出が遅れたときには、2年前まではさかのぼって保険納付済期間となっていましたが、それ以前の期間は「保険料未納期間」とされ、年金額の計算に反映されませんでした。しかし平成17年4月から、特例の届出をしていただくことによって、2年以上前の期間も保険料納付済期間(第3号被保険者期間)として取り扱い、将来その分の年金を受け取ることができるようになりました。平成17年4月1日以降に2年以上さかのぼって第3号被保険者の該当届出を行う方が対象となります。

具体例


























Q. 60歳台前半の老齢厚生年金の支給停止と年金額について教えてください。

A.  これまでは、60歳台前半の老齢厚生年金受給者で、同時に在職している(厚生年金に加入している)場合の在職老齢年金は、まず一律に年金額の2割が支給停止され、その上で受け取る年金額と給与に応じた在職支給停止が行われておりました。
 平成17年4月からは、年金額の2割を支給停止する仕組を廃止し、総報酬月額相当額(その月の標準報酬月額+賞与額÷12)と基本月額(老齢年金の年金額÷12)の合計額が28万円以下の場合は老齢厚生年金は全額支給し、28万円を超える場合は支給停止するという仕組に変更になりました。支給停止額は総報酬月額相当額と基本月額、それぞれの金額に応じた計算式を元に決められます。
→詳細

在職老齢年金額早見表































Q. 私は44歳で、夫は48歳の自営業者で国民年金に加入しています。厚生年金加入暦は無く、26年間国民年金保険料を支払っています。私は年収160万円程度で、20歳の大学生の息子が1人います。この状況で夫が死亡した場合、何か給付を受けられますか?

A.  国民年金加入者が死亡した場合、3種類の給付があります。
「遺族基礎年金」「寡婦年金」「死亡一時金」です。老齢給付受給資格の有無、遺族はだれか、などの状況により給付の種類、内容が決まります。

 「遺族基礎年金」は次の1〜3のいずれかに該当する方が死亡したときであって、死亡した人によって生計維持されていた「子」のある妻、あるいは「子」に支給されます。※「子」とは18歳到達年度末を過ぎていない、または20歳未満の一定の障害者です。

  1. 国民年金被保険者
  2. かつて国民年金被保険者であって、
    60歳以上65歳未満の日本国内に住所がある人
  3. 老齢基礎年金受給者または受給期間を満たしている人
     1、2に該当する場合には、
    他に保険料納付要件を満たしていることが必要です。

「寡婦年金」は国民年第1号被保険者である夫が死亡し、「子」のいない妻で老齢基礎年金を受給できない妻に支給されます。しかし、婚姻期間10年以上、死亡した夫が老齢基礎年金受給期間を満たしている、などの一定条件を全て満たす必要があります。さらに、妻が60歳から65歳までの間しか受給できない年金です。

 「死亡一時金」は第1号被保険者として保険料送付済期間と免除期間を合算した期間が3年以上ある人が死亡したとき遺族基礎年金を受給できない一定の遺族に支給されます。
 なお、「寡婦年金」と「死亡一時金」は併給できません。いずれかの選択になります。また「死亡一時金」の請求期限は2年となっており、この期限を過ぎると請求ができなくなります。

 以上により、この方の場合は、子供は20歳のため遺族基礎年金は受給できず、また寡婦年金は60歳になるまで受給できません。
 すぐに受給の可能性があるのは、死亡一時金だけです。
 







Q. 私と夫は58歳で共稼ぎです。二人とも中断はありますが25年以上厚生年金に加入、現在も加入中です。今、もしも私と夫のどちらかが死亡した場合、残された方に遺族厚生年金は支給されますか?成人した子供が二人います。私の年収は約300万円、夫は約600万円です。

A. 遺族厚生年金の受給には2つのポイントがあります。

1、支給要件=死亡した人の要件
死亡した人が次のいずれかに該当するとき、死亡当時、その人に生計維持されていた一定範囲の遺族に支給されます。

  1. 厚生年金の被保険者である間に死亡したとき
  2. 厚生年金の被保険者であった人が、被保険者期間中に初診日がある傷病が原因で、初診日から5年以内に死亡したとき 
  3. 障害厚生年金(1、2級)の受給権者が死亡したとき
  4. 老齢厚生年金の受給権者または受給資格期間を満たしている人が死亡したとき
    ・ 1、2に該当する人は、他に保険料納付要件を満たしていることが必要です。
    ・ 生計維持とは、家計を一つにしていて、一定以上(現在は年収850万円以上)の収入が無いと認められること。
      ・ 初診日とは、初めて医師等の受診等した日です。
  2、遺族の範囲=受給する人の要件
遺族厚生年金を受給できるのは下記の遺族で、複数いる場合の優先順位は1〜4です。
  1. 配偶者(妻または夫)・子
    ・妻と子が該当する場合は妻に支給、子は支給停止。夫と子が該当する場合は子に支給、夫が支給停止。
  2. 父母(死亡時55歳以上であること、支給開始は60歳からです。)

  3. 祖父母(死亡時55歳以上であること、支給開始は60歳からです。)
    ・子、孫は死亡時に18歳年度末を過ぎていない、または20歳未満の一定の障害者であって、現に婚姻していないことが必要です。

以上により、二人とも老齢厚生年金の受給資格を満たし、生計維持関係もあると認められるので、この状況でもし夫が死亡した場合、妻に(私)に遺族厚生年金が支給されます。
逆にもし妻が(私)死亡した場合は、夫は遺族厚生年金を受給できますが、実際の支給は60歳からとなります。










Q. 私は現在、5年前に他界した夫の遺族厚生年金を受給中です。来年、60歳になったら自分の老齢厚生年金の受給権を得られますが、その場合どちらかの年金と選択することになるのですか?今は厚生年金は未加入ですが、以前に20年以上加入していました。

A. 現在の年金制度では、「老齢」「障害」「遺族」の支給事由別に3種類の年金がありますが、原則として同一支給事由による年金だけを受給できることになっています。しかし、遺族厚生年金には例外があり、異なる支給事由の年金と両方受給できるようになっています。(併給といいます)

 質問の場合は結論からいいますと、
65歳までは「選択」、65歳以降は「併給」もできます。

・65歳までは・・・原則が適用され、どちらかの年金を選択します。
・65歳以降は・・・遺族厚生年金と自身の老齢を支給事由とした年金と併給できる場合があります。

併給の組合せとしては、
自身の老齢基礎年金と老齢厚生年金の全額受給と、
夫の遺族厚生年金額−自身の老齢厚生年金額の金額
 つまり、遺族厚生年金額が自身の老齢厚生年金額より多い場合には、その差額を遺族厚生年金として受給(3種類の併給)ができるのです。

ただし、生年月日、遺族厚生年金の受給権発生時期によっては上記の併給は適用されず、
・老齢基礎年金(妻)+老齢厚生年金(妻)
・老齢基礎年金(妻)+遺族厚生年金(夫)
・老齢基礎年金(妻)+老齢厚生年金(妻)の1/2+遺族基礎年金(夫)の2/3
 (受給者が配偶者の場合)
を選択、受給する場合があります。また、自身の老齢厚生年金の受給権がない方には、
・遺族厚生年金(夫)の全額+老齢基礎年金(妻)
 を受給することになります。

 上記のように、年金受給には生年月日、特に併給する場合には金額等も考慮しなければなりません。
受給権が発生し、裁定請求の際には事前に社会保険事務所にご相談されることをお奨めします。








Q. 私は昭和38年生まれの45歳です。夫は11年前に43歳で亡くなり、その遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給しています。しかし子供が18歳になると遺族基礎年金は受給できなくなるとききました。子供は一人で、来年1月に18歳になります。年金額はどうなるのでしょうか?

A. 結論からいいますと、
子供が18歳に達する年度末(3月31日)が終了すると、遺族基礎年金の支給は終了(=失権)します。
理由は、遺族基礎年金の支給要件は、夫の死亡当時「18歳未満の子」がいる妻、この妻が受給権を有します。すなわち「18歳未満の子」がいなくなると受給権を有するための要件に欠き、支給終了(=失権)となるのです。

しかし、これでは子が成長したことで年金額が急に減ってしまいます。
そのため、年金制度ではこのようなことが無いよう配慮されています。これが「中高齢の寡婦加算」といわれるものです。

中高齢の寡婦加算とは
上記のように、遺族基礎年金の支給が終わり遺族厚生年金のみの受給になった場合、この引き続き支給される遺族厚生年金に一定額の加算がされます。
また、夫の死亡当時遺族基礎年金の受給要件となる子がいない妻にも、遺族厚生年金に一定額の加算がされることがあります。

※支給要件※
中高齢の寡婦加算は、遺族厚生年金を受給できる妻が下記のいずれかに該当したときに支給されます。

  1. 夫の死亡当時40歳以上65歳未満であって、遺族基礎年金の対象となる子がいない妻
    ・遺族厚生年金の支給開始と同時に支給されます。
  2. 夫の死亡当時40歳未満であって、40歳になったときに遺族基礎年金の対象となる子と生計を同じくしていた妻の場合
    ・子が18歳に達した年度末(3月31日)、1・2級の障害を持つ子の場合は20歳到達日を経過したときから支給されます。

ここで注意していただきたいことがあります。それは、
妻が65歳になり、妻自身の老齢基礎年金が受給できるようになると中高齢の寡婦加算の支給が打ち切られるのです。 中高齢の寡婦加算は、遺族基礎年金の支給終了等による年金額低下を防止するものなので、自身の年金を受給できるようになるとその役割を終えたことになり、支給終了となるのです。
いわば、「有期年金」なのです。
 しかし、中高齢の寡婦加算終了後も、昭和31年4月1日以前生まれの妻は、それまで加算されていた中高齢の寡婦加算に代えて、「経過的寡婦加算」が行われます。

つまり、先に述べましたようにご質問の方は子供の18歳の年度末日に遺族基礎年金の支給は終了(=失権)しますが、中高齢の寡婦加算の支給要件を満たしているので、これが加算された遺族厚生年金を受給しつづけることになります。
年金額の急な減額の心配はありません。
ただし、加算された遺族厚生年金の受給は65歳までです。





Q. 私は昭和26年生まれの57歳です。今年の10月に夫が61歳で死亡しました。60歳から老齢厚生年金を受給できたのですが、退職後、自営業を開始し、多忙のため裁定請求をしていませんでした。 生前、受給できたはずの夫の老齢厚生年金は、死亡後でも遺族が請求できますか?

A. 結論から言いますと、
請求をすると死亡した夫が受給できるはずだった老齢厚生年金を受給できます。
受給対象期間は、夫が60歳になった月の翌月から死亡した月までの15ヶ月分です。具体的には誕生月が7月なので翌月8月から死亡した月の10月分、合計15ヶ月分になります。

このようなケースは「未支給の年金」といわれるものです。
年金は、受給権が発生した月の翌月から権利が消滅した月までの間、月単位で支給されます。年金受給できる人が死亡した場合、その人が受けることができた年金で、まだ未支給にのものがあるときには、死亡当時、その人と生計を同じくしていた一定の遺族は、自己の名で請求、未支給の年金が受給できます。

・未支給の年金を受けることができる遺族、優先順位は下記のとおりです。
(先の順位者が受給すると後順位の人は受給できません)

  1. 配偶者
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹

なぜこのような「未支給の年金」が発生するのかと言いますと、
年金の支払い月は偶数月の年6回で、それぞれ支払い月の前2か月分が支払われます。このため、例えば、年金受給者が3月に死亡した場合、死亡後は本人に支払うことができないので4月に支払われる2・3月分が[未支給]となるのです。
また、4月に死亡した場合は、6月に支払われる4月分が「未支給」となってしまいます。

このように、未支給の年金は一般的には年金受給者が死亡した場合、死亡月(死亡月によりその前月分も)の年金が対象となりますが、この方のように、受給権の人が裁定請求をせずに死亡した場合にも対象となります。
ただし、年金受給には時効があります。受給権を得てから5年を経過している場合、その超えた期間分は時効成立により支給されません。(年金時効特例法による年金記録訂正があった場合は支給されます。)











Q. 日本国籍を有していない短期在留外国人で、厚生年金の被保険者だった者が帰国することになった場合、何か給付を受けられますか?

A.  日本国籍を有していない短期在留外国人の方で、厚生年金保険の被保険者期間が6月以上あり、かつ年金(障害手当金を含む)を受ける権利を有したことがない場合、日本を出国後に請求することにより、被保険者期間中の平均標準報酬額にその期間に応じた支給率を乗じて得た額を脱退一時金として受け取ることができます。
 また、いままでは、被保険者期間に応じて一律だった支給率が、厚生年金保険の被保険者期間の最後の月(最終月)の前年の10月(最終月が1月から8月の場合には前々年の10月)における厚生年金の保険の保険料率をもとに計算されます。

→計算方法




















Q. アメリカの企業に派遣される従業員の保険料はどうなりますか?

A.  平成17年10月1日より「日米社会保障協定」が発効され、日本とアメリカ合衆国との間で年金制度と医療保険制度の適用を調整できるようになりました。5年以内の滞在の場合は原則として相手国の制度への加入が免除されます。また、相手国での年金制度の加入期間を本国の制度の加入期間に通算できるようにもなりました。
 また、ドイツ、イギリス、韓国ともアメリカ同様の社会保障協定を発効しています。

























Q. 年金手帳が手元に二冊あります。

A.  現在、年金手帳はオレンジ色と青色の二種類の手帳があります。また、日本の公的年金制度に加入している人は、一人ひとりに独自の番号が付けられており、これを「基礎年金番号」といいます。
 オレンジ色の手帳は、基礎年金番号が始まる前から公的年金に加入している人が所持しているもので、手帳には以前使われていた国民年金または厚生年金の記号・番号が記載されていますが、基礎年金番号は記載されていません。そのため別に「基礎年金番号通知書」が交付されており、これは年金手帳と離れないように大切に保管する必要があります。一方、青色の手帳は、平成9年1月以降に新しく年金に加入した人や年金手帳を再発行した場合に交付されるもので、手帳に基礎年金番号が印字されています。
 基礎年金番号が始まる平成9年より前に転職を経験した人は、就職の際に誤って年金手帳が新しく交付されたり、本来の厚生年金番号と異なる番号が付けられたりすることなどが原因で、複数の番号や手帳を持つケースがあります。手帳は二冊以上持っていても特に差し障りはありませんが、番号は統一しておかないと、必要な加入期間に満たなくて年金がもらえなかったり、本来もらえるはずの年金額より少なくなってしまうことにもなります。オレンジ色の年金手帳に記載のある国民年金や厚生年金の記号・番号が、基礎年金番号通知書に記載された基礎年金番号と異なる場合は、社会保険事務所に申し出て、これを基礎年金番号に統一してもらうことが必要です。また青色の年金手帳が二冊以上あって、異なる基礎年金番号がつけられている場合も、番号を一つにまとめる手続が必要となります。

























Q. 定年後に従業員を再雇用した場合、社会保険の手続はどうすればよいのでしょうか?

A.  同一の事業所において、定年後に1日の空白も無く嘱託社員などとして再雇用された場合は、その人の使用関係は中断することなく存続していることになりますので、原則として健康保険や厚生年金保険の被保険者資格はそのまま継続します。したがって、資格取得や喪失の手続は本来は必要ありません。しかし、再雇用後に給与や労働日数などの労働条件が変更になったときは、被保険者資格についての取り扱いが変わることがあります。

<給与が下がった場合>
 特別支給の老齢厚生年金の受給資格がある人が再雇用され、60歳以降も引き続いて厚生年金保険に加入していると、「在職老齢年金」のしくみにより、年金額の一部または全額が支給停止になることがあります(参照→60歳台前半の老齢厚生年金支給停止と年金額について)。
 支給停止額は、その人の給与月額(標準報酬月額)も反映されるので、再雇用後に給与が下がった場合は、標準報酬月額の「随時改定(下がった月から4ヶ月目に月額を変更するもの)」が行われるまでは、再雇用前の高い標準報酬月額で計算されることになり、年金の停止額も多くなってしまいます。このような事態を避けるために、随時改定を行わず、定年後にいったん被保険者資格を喪失させ、同時に再取得する手続(同時得喪)を行うことで、再雇用後の標準報酬月額を年金の停止額にすぐに反映させることができる措置がとられています。
 同時特喪を行うには以下の要件をいずれも満たす必要があります。

  1. 退職理由が定年によることが明らかであること
  2. 特別支給の老齢厚生年金の受給権者であること
なお、この手続は健康保険の被保険者資格についても行われますので、被扶養者がいる場合には被扶養者に関する届出も改めて行わなければなりません。


<労働日数などが減った場合>
 再雇用によって、その人の所定労働日数や時間数が減る場合は、パートタイマーなどの短時間労働者に適用する基準に照らして、健康保険や厚生年金保険の被保険者資格が継続するかどうか判断されます。被保険者資格が継続するのは、原則として次の1、2いずれの基準も満たしている場合です。

  1. 1日または1週間の所定労働時間数が、その事業所で同種の業務を行う通常の労働者(正社員)のおおむね4分の3以上であること
  2. 1ヵ月の所定労働日数が、その事業所で同種の業務を行う通常の労働者(正社員)のおおむね4分の3以上であること
 再雇用後にこれらの基準を満たさなくなった場合は、原則として被保険者資格を喪失することとなります。したがって、在職老齢年金のしくみによる支給停止にかかりませんので、特別支給の老齢厚生年金は全額受け取れることになります。
 また、再雇用後もこれらの基準を満たす場合は引き続き被保険者となりますが、給与が下がった場合は、前述の同時特喪の手続をとります。

























Q. 海外で治療を受けた場合の健康保険の扱いはどうなりますか?

A.  原則として、海外で治療を受けた場合、その費用は療養費として後で払い戻されます。
 「療養費支給申請書」に、現地医療機関等で記入した診療内容明細書、領収明細書など診療内容や費用を明らかにした証拠書類を添えて社会保険事務所または健康保険組合に提出してください。また、それらの書類が外国語の場合は日本語に翻訳したものの添付も必要です。
 保険者が定めた基準をもとに日本で治療した場合にかかる費用を算定し、その算定した額から一部負担の3割分(一般の被保険者の場合)を差し引いた額、つまり7割分が差し戻されます。ただし、その額が実際に支払った額よりも多い場合は、実際に支払った額が限度となります。事業主を経由しての請求、受領ができますので、被保険者が帰国していない場合でも払い戻しは可能です。
 なお、業務上の災害など労災保険が適用される場合、療養を目的として海外へ行き診療を受けた場合や、日本国内で健康保険が適用されない医療行為などは療養費の対象とはなりません。