【相談内容】
 3ヶ月毎の契約更新を行い、2年間勤務してきた会社から経営不振を理由として、次回の契約更新を行なわない旨を通告されました。自分には非がないことなので納得的ません。補償金の支払いを求めます。


  • アドバイス
     今回のケースの場合、契約更新の回数も多く、雇用継続への合理的期待が認められます。雇止めの理由は一方的であり、会社側は補償金の支払いを検討すべきです。また1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合や、1年以下の労働契約が更新または反復され、初回の契約締結時から継続して通算1年を超える場合に雇止めするときには、契約の期間の満了する日の30日前までに予告が必要となることも注意してください。


















【相談内容】
 運送会社に勤めていましたが、交通事故によりトラックを全損させ、事業主から多額の損害賠償の支払いを求められています。事故の責任は私にありますし、何らかの支払いは考えていますが、会社側の求める金額は多額で、経済的余裕もありません。支払額を減免と支払い時期の猶予を求めます。


  • アドバイス
     労働に過失責任がある場合においても、労働者に負担させ得る金額には限度があります。通常の過失であれば労働者負担割合の限度は実質損害額の25%程度とする判例が主となっています。


















【相談内容】
 整理解雇の対象となりましたが、これを不服として会社に損害賠償・慰謝料と請求を行なったところ、整理解雇を撤回する意思表示をされました。しかし、今更復職は出来ませんので、改めて補償金の支払いを求めます。


  • アドバイス
     整理解雇については解雇事由が存在するとは言い難く、無効となる可能性が高いです。しかし、会社が解雇を撤回している以上、実質損害額はそれほど大きなものにならないと考えられます。以上のことを踏まえ、労使双方で話し合いを行なってください。


















【相談内容】
 賃金制度が改定され、それに基づき年俸制の説明がありました。その際、労働者の年齢により年俸金額が決定される制度であることを初めて聞かされました。自分の場合は従前より年間100万円の引き下げになり、納得できません。年俸金額の決定の撤廃もしくは見直しを求めたいです。


  • アドバイス
     労働条件について、労働者の同意を得ず、説明もない一方的な変更手続には問題があります。経過措置を設ける等、労使双方で話し合って解決してください。


















【相談内容】
 退職予定の2ヵ月前に退職することを会社に告げたところ、その1ヵ月後に解雇されました。会社に迷惑がかからないように2ヵ月後の退職を告げていたのに解雇理由は不当であり、納得できません。解雇の撤回を求めます。


  • アドバイス
     解雇は社会的に相当と認められる合理的理由が必要です。今回のケースの場合、解雇される合理的な理由はなく、判例に照らし、解雇は無効となる可能性があります。会社は解雇を取り消す方向で検討すべきです。


















【相談内容】
 実質的に年功序列だった給与制度が成果主義型に変更され、降格・減給となってしまいました。


  • アドバイス
     成果主義給与への変更に関しては、成果主義型に給与制度が変更されたことにより降格・減給となった会社員が、減給分などの支払いを求めた訴訟の控訴審判決(2006年6月22日)で東京高裁が「(減額のある賃金制度への変更は)就業規則の不利益変更にあたるが、労働生産性を高めて競争力を強化する高度の必要性があった」と指摘しています。そのうえで(1)全社員に対する給与の原資総額は減っていない、(2)自己研さんによる昇格・昇給の機会が平等である、(3)人事評価制度のしくみにも最低限度の合理性がある、などと述べ、制度の変更は「合理的」との判断を下しています。


















【相談内容】
 業務の都合上、時間外労働となることも多いため、定期健康診断のほかに、一定時間以上の時間外労働を行った従業員を対象とする健康診断を随時行なっています。健康診断はいつも時間外に実施されていますが、時間外手当の対象とはなっていません。従業員の健康管理上から見ても、健康診断は業務と関係あることですから労働時間とみなして、手当を支給すべきではないでしょうか?


  • 会社の主張
     定期健康診断に関しては、業績の問題や、人員体制や関連会社との関係から、診断を労働時間内に行なうことは無理と考えられるため、業務に支障が出ないように時間外に行なうことを従業員が自主的に決めたものである。また、一定時間以上の時間外労働を行った者の随時健康診断についても、社員からの申し出を受けて実施しているが、受診時間は労働時間ではないので時間外手当は支給できない。
  • アドバイス
     一般労働者を対象とした定期健康診断については、一般的な健康確保を図ることを目的として事業者にその実施義務を課したものです。業務遂行との関連において行なわれるものではありませんので、その受診のために要した時間については、当然事業者の負担とすべきものではなく、労使が協議して定めるべきものとされています。しかし、労働者の健康確保は事業の円滑な運営に不可欠な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業者が払うことが望ましいと考えられます。
     一方、特定の有害な業務に従事する労働者について行なわれる健康診断、いわゆる「特殊健康診断」は事業の遂行にからんで当然実施されなければならない性格のもので、所定の労働時間内に行なわれるのを原則とします。また、特殊健康診断の実施に要する時間は労働時間と解されるので、その健康診断が時間外で行なわれた場合には、当然割増賃金を支払わなければならないものになります。
     今回のケースは、特殊健康診断には該当しませんが、健康管理面からも健康診断は就業時間内に行なえないかどうか、それが無理なら労働時間の対象とできないかどうか、業務状況も含めて再度話し合いをしてみてはいかがでしょうか。


















【相談内容】
 業務上のストレスなどによる体調不良のため、欠勤が続いていましたが、欠勤日数が40日を超えた時点で「就業規則の規定により解雇する」との解雇通知が会社から届きました。会社には休職規程もなく、連続欠勤40日を経過した場合で解雇という規定はあまりにも厳しく、体調が戻り次第の復職を希望しています。もしも、どうしても解雇するというのなら解雇予告手当の支給を求めます。


  • 会社のの主張
     会社の経営状況が非常に厳しくなっているため、すぐにでも代わりとなる社員を採用しなければならず、復職まで待つことは出来ない。
     また、会社の就業規則では、解雇事由の一つに、「業務上の事由以外で引き続き欠勤日数が40日を超えたとき」と定めており、当社の規定は充分理解していたはずである。予め40日を経過すれば解雇となることを承知していた以上、突然の解雇通知とはいえず、予期可能な状態であったといえる。よって、解雇予告手当も支給出来ない。

  • アドバイス
     労働協約や就業規則で「一定期間欠勤後は解雇する」と解雇事由を定めている場合でも、雇用契約期間の満了とは異なりますので、労働基準法第20条に定める30日前までの解雇予告または解雇予告手当が必要となります。
     また、解雇予告(または解雇予告手当の支給)があったとしても、解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は無効となります(労働基準法第18条の2)。今回のケースの場合、欠勤期間の相当性、欠勤事由の労働者責任の有無と程度、解雇に至るまでの使用者側の対応、業務上の必要性、その他の事情を総合して判断されることになります。そのうえで、相談者の方の体調についてももう少し詳しく状況観察し、早期に復帰できるかどうか、他の業務への転換は出来るかどうかなど、会社の業況見通しなどとあわせてお互いに再度充分話し合ってはいかがでしょうか。