- 会社の主張
定期健康診断に関しては、業績の問題や、人員体制や関連会社との関係から、診断を労働時間内に行なうことは無理と考えられるため、業務に支障が出ないように時間外に行なうことを従業員が自主的に決めたものである。また、一定時間以上の時間外労働を行った者の随時健康診断についても、社員からの申し出を受けて実施しているが、受診時間は労働時間ではないので時間外手当は支給できない。
- アドバイス
一般労働者を対象とした定期健康診断については、一般的な健康確保を図ることを目的として事業者にその実施義務を課したものです。業務遂行との関連において行なわれるものではありませんので、その受診のために要した時間については、当然事業者の負担とすべきものではなく、労使が協議して定めるべきものとされています。しかし、労働者の健康確保は事業の円滑な運営に不可欠な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業者が払うことが望ましいと考えられます。
一方、特定の有害な業務に従事する労働者について行なわれる健康診断、いわゆる「特殊健康診断」は事業の遂行にからんで当然実施されなければならない性格のもので、所定の労働時間内に行なわれるのを原則とします。また、特殊健康診断の実施に要する時間は労働時間と解されるので、その健康診断が時間外で行なわれた場合には、当然割増賃金を支払わなければならないものになります。
今回のケースは、特殊健康診断には該当しませんが、健康管理面からも健康診断は就業時間内に行なえないかどうか、それが無理なら労働時間の対象とできないかどうか、業務状況も含めて再度話し合いをしてみてはいかがでしょうか。
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